かつて、筆者の好むようなバックパッカー旅行を紹介していたクリエイターが近年、マーケティングの奴隷となり、ショッピングや高級ホテルステイなどが中心のコンテンツばかりを生産していることに失望したことが幾度となくある。
こういった事態にならないように、本サイトで取り扱う「旅」に対する基本方針を明記する。
取り扱う旅行の範囲・定義
「旅行」とは距離に関わらず、自分の行きたい場所に足を延ばす行為・その先での出来事全般だと捉える。
国語辞典においては、旅行とは「家を離れて他の土地へ行くこと」と定義されているが、一旦こちらの意味は忘れ、前者の意味でとらえて頂きたい。なので、「他の土地」に行かずとも、近所の散歩等も対象範囲に含むこととする。もちろん、海外へのバックパッカー旅行や国内温泉旅行も対象範囲とする。
旅行記に含まれるトピック
・近所の散歩・カフェ訪問
・海外バックパッカー旅行
・国内温泉旅行

(京都、2024年4月)
旅の目的・基本行動方針
筆者が旅行をする目的は、訪問先における地元住民の生活模様や風土を観察し、希少性かつ偶発性の高い写真・映像を記録することである。
上記の目的を達成するための基本行動方針として、変化のスピードが速く、10年後には見る・体験することができないであろう対象を中心に訪問することとする。また、開発された観光地には可能な限り訪れず、その旅行で自分にしか起こり得ないイベントが発生するように行動する。
例えば「近年人権問題で大変疑惑が深い新疆ウイグル自治区のバザールを徘徊し、ウイグル人男性からハミウリを買って食べ歩く」などは上記目的・方針に合致した旅行であるといえる。

(新疆ウイグル自治区、2023年8月)
上記目的・方針の根拠ととなる考え方とその解釈を紹介する。
出典元の書籍は筆者の趣味である写真・映像撮影において、価値のある作品とは何か、といった問に対する解を紹介している。具体的には、写真の価値は希少性・偶発性だと言語化されている。
・偶発性:奇跡的な瞬間を捉えていること。
(例:野鳥の捕食シーンなど)
・希少性:珍しい事象・滅多にない事象を捉えていること。
(例:ハレー彗星・イベント列車など)
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希少性について
人類の生活模様や風土というのは常に変化し続けるものである。筆者が生まれた1990年代後半、人々は「携帯電話」を手にし、街にはクラウンタクシーがあふれていた。また、幅広のネクタイを身に黒いスーツを着たサラリーマンが街を闊歩していた。
一方で現在では、テレワークやJPNタクシーなど、20年前には無かった景色が街に広がっている。2024年の今、1990年代の写真を撮ることはできず、希少性の高い写真・映像といえる。
上記の考え方に則り、日本や都市部から離れた地において、失われつつある営み、変化のスピードの速い事象を撮影することで希少性の高い記録を残したいと考えている。

(九龍半島、2023年8月)
偶発性について
砂漠の観光地に行けば、お金を払うことでラクダに乗ることができ、世界遺産の遺跡に行けば中国四千年の歴史に思いを馳せることができる。しかしこれらはいずれもお金を支払えば実現でき、偶発性が高い事象とは言えない。
(観光地に行って表面的な感想を述べるのはいつ誰が行ってもできることであり、偶発性も低い。)
筆者は下手な観光地に行くのは可能な限り避け、住民との出会いやスーパーでの食材購入など飾らない衣食住を営むことこそが偶発性の高い、つまりその旅行で自分にしか起こり得ないイベントを発生させるために重要な姿勢だと考えている。

(ビエンチャン、2022年9月)
旅先で行わないこと
下記のような活動は一般に旅行の一部として考えられている。実際Youtubeやnote上には下記に紙面の大半を割いた旅行記が多く掲載されており、人気も高い。
一方で、筆者の基本方針には合致しないため、下記については行わない+旅行記でも取り扱わないこととする。
・ショッピング
・高級ホテルステイ
・自分探し
最後に
言うまでもないが、ひとり旅以外のシーンにおいてはこれら基本方針から外れることを許容する。(むしろ上記の方針は一般的な価値観からは大きく乖離しているため、集団行動では慎むべきである。)
他人との旅においてまで自らの「旅に対する基本方針」を振りかざし、同行者たちを不快にさせたくないからである。
また筆者は収益化からほど遠い弱小執筆者である。なので、マーケティングを意識しすぎるあまり、上記のようなくだらない商業的テーマばかりを取り扱うようになる可能性は低い。
本記事については旅先や余暇の過ごし方で迷いが生じた際の振り返り先・決断材料として利用したいと考えている。
旅に対する目的および基本方針は以上。